情報化社会の行きつく先は~ラプラスの悪魔~
2017/06/25

いらっしゃいませ。
ここ数十年で、世界の情報化がものすごい勢いで進んできましたね。
歩きながら地球の裏側の情報が手に入るというのは、すさまじいことだと感じます。
今日はこの情報化の波がこのまま続けば、どんな風になっていくかを考えてみましょう。
デバイスの変化
少し前までの私たちは、パソコンからインターネットに接続し、世界にアクセスしていました。
携帯電話は電話とメールが主な使い道で、ネット接続はできなくはないが貧弱なものでした。
そして今はスマホという形で、手のひらサイズで不自由なく世界の情報にアクセスできるようになりました。
この間せいぜい10~20年でしょうか。
さらに日々新たな機械が開発されています。
こういった歴史を思い返してみても、デバイスがどんどん小型化しているのに気づくはずです。
このまま進めば、脳にチップを埋め込むような未来になるでしょう。
頭で考えるだけで必要な情報を集めることができるようになるはずです。
つまり、学校で学ぶことも変わります。
もはや「記憶すること」に意味がなくなります。
定期テストは情報収集の巧拙を競うものになるでしょうか。
逆に、体験することが重大な意味を持ちそうです。
もちろん、ネットも進化して、五感の情報すらアップロードできるようになるかもしれませんが。
そうすると今度は倫理観が問題になりますね。
なぜこんな話をするかというと、すでに脳に機械を埋め込み機能を拡張した人がいるからです。
二―ル・ハービソンという男性は、生まれつき色覚異常といって色を見分けることができませんでした。
世界がモノクロだったわけです。
そんな彼は脳にアンテナのような装置を埋め込み、光の波長を感じることができるようになりました。
こういった研究が進めば、例えば不可視光線の紫外線を知覚したり、より広い帯域の音を聴いたり、人間の限界を超えることができるかもしれません。
ラプラスの悪魔
今回のタイトルにもなりました「ラプラスの悪魔」、名前はご存知の方が多いと思いますが、一応どんなものか見てみましょう。
もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。
–『確率の解析的理論』1812年
素粒子レベルですべてを認識、解析できるならば、因果律に則り未来が正確にわかる、ということです。
これを理解するには因果律の知識が必要ですが、まずはビリヤードを想像してみましょう。
ビリヤードは台上に球がいくつか転がっており、プレイヤーが白球を突いてそれらを穴に落とすスポーツです。
ここで考えたいのは、白球が突かれて、たくさんの球や壁に跳ね返り、そして止まるその位置は、白球を突いたその瞬間に決まるということです。
あとはなすがままに動き、やがて止まります。
ほかの球についても同様です。
白球がどう動き、それが自分を動かしたり、動かさなかったりするのは、白球が突かれた瞬間に決まります。
これと同じことが宇宙全体でも起こっていると考えます。
宇宙はビッグバンが起こって膨張してできたと考えられていますが、それがビリヤードでの一突きだとするのです。
そうすると宇宙の無数の素粒子がどう動き、どう止まるかはビッグバンの瞬間に決まることになります。
これは決定論、運命論等と呼ばれますが、世界がどうなるかはもう決定づけられたものであるとする立場です。
素粒子レベルで考えるので、もちろん人間の営み、心の動きさえも予め決まっていたことなのです。
そして、その素粒子を正確に観測し、動きを解析できるなら、当然未来もわかります。
私が思うに、そうなってくると未来はもはや今と区別されず、時間の概念から解放されるはずです。
未来だけが特別なのは、不確定だからです。
まとめ
現在この説は、量子論の「不確定性原理」で実現不可能だといわれていますが、どうでしょうか。
科学は万能ではありません。
現に昔は当たり前に宇宙の中心は地球だったのが、今ではもうそんな考え方をする人はいません。
いずれ量子論よりも、より宇宙の真理に近い理論が出てくるかもしれません。
そうなると、最初に述べた脳に埋め込むチップで、すべてを知ることができるようになるかもしれませんね。
今回のような、物理的な実験はせず頭だけでシミュレートすることを、思考実験といいます。
今後も様々な思考実験をご紹介し、皆様と考えを議論できればと思っています。
最後にちょろっと出てきた量子論についても、また概要だけでも記事にしようかと思います。
長くなってしまいましたが、今回も最後まで見ていただきありがとうございました。